私はどこだ。
前はどっちだ。
全国順次公開中
山本奈衣瑠
早織磯田龍生BEBE服部竜三郎
五十嵐諒荒木知佳村上由規乃谷仲恵輔
綾乃彩福山香温齊藤由衣窪瀬環平吹正名諏訪敦彦
監督:蘇鈺淳 配給:イハフィルムズ
ヨーロピアンビスタ/5.1ch/82min
やれない。やれない。だからやってく。
新鋭・蘇鈺淳監督×主演・山本奈衣瑠
切実さとユーモアが融合した、
映画にまつわるロードムービー
PFFアワード2021審査員特別賞(『豚とふたりのコインランドリー』)の蘇鈺淳(スーユチュン)監督による初長編作品『走れない人の走り方』。新人映画監督として葛藤する主人公・キリコ役に、モデルとしての活動だけでなく『猫は逃げた』以降俳優としての活躍も目覚ましい山本奈衣瑠。プロデューサー役に『辻占恋慕』などの早織、カメラマン役に磯田龍生、キリコの同居人役にBEBE、助監督役に服部竜三郎など多彩なキャストが脇を固めているほか、キリコの映画に出演する俳優役として五十嵐諒、荒木知佳、村上由規乃、キリコの父親役に谷仲恵輔、そして蘇監督の恩師でもある諏訪敦彦がチャーミングな役どころで出演を果たしている。2023年3月に実施されたユーロスペースでの修了展での上映が全回満席となるなど好評を博し、2024年3月に開催される第19回大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門への出品も決定した本作。悩みながらも理想の映画を追い求め、奔走する主人公はもちろん、映画に関わるあらゆる登場人物たちの切実さとおかしみが切り取られた一編となっている。
やれない。やれない。だからやってく。
新鋭・蘇鈺淳監督×主演・山本奈衣瑠
切実さとユーモアが融合した、映画にまつわるロードムービー
PFFアワード2021審査員特別賞(『豚とふたりのコインランドリー』)の蘇鈺淳(スーユチュン)監督による初長編作品『走れない人の走り方』。新人映画監督として葛藤する主人公・キリコ役に、モデルとしての活動だけでなく『猫は逃げた』以降俳優としての活躍も目覚ましい山本奈衣瑠。プロデューサー役に『辻占恋慕』などの早織、カメラマン役に磯田龍生、キリコの同居人役にBEBE、助監督役に服部竜三郎など多彩なキャストが脇を固めているほか、キリコの映画に出演する俳優役として五十嵐諒、荒木知佳、村上由規乃、キリコの父親役に谷仲恵輔、そして蘇監督の恩師でもある諏訪敦彦がチャーミングな役どころで出演を果たしている。2023年3月に実施されたユーロスペースでの修了展での上映が全回満席となるなど好評を博し、2024年3月に開催される第19回大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門への出品も決定した本作。悩みながらも理想の映画を追い求め、奔走する主人公はもちろん、映画に関わるあらゆる登場人物たちの切実さとおかしみが切り取られた一編となっている。
あらすじ
ロードムービーを撮りたい映画監督の小島桐子。だが、理想の映画づくりとは裏腹に、予算は限られ、キャスティングは難航するなど、問題は山積みだ。
ある日桐子は、プロデューサーに内緒でロケハンに向かうが、その途中で車が故障。さらにその夜に飼い猫が家から逃げ出した上、妊娠中の同居人が産気づく。様々なトラブルに見舞われ動揺した桐子は、翌朝の大切なメインキャストの打合せを反故にしてしまう。
キャストが決まらず車を直す金もない中で、撮影を実現させるための方法を模索する桐子は、あるアイデアを思いつく-。
劇場公開・情報
- 東京テアトル新宿上映期間4月26日(金)〜5月9日(木)
- 神奈川横浜シネマリン上映期間5月18日(土)〜5月31日(金)
- 大阪シネマート心斎橋上映期間5月24日(金)〜5月30日(木)
- 京都出町座上映期間5月24日(金)〜6月6日(木)
- 栃木小山シネマロブレ上映期間5月24日(金)〜6月6日(木)
- 兵庫元町映画館上映期間5月25日(土)〜5月30日(木)
- 東京シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』上映期間5月31日(金)〜6月13日(木)
- 栃木宇都宮ヒカリ座上映期間6月7日(金)〜6月20日(木)
- 東京シネマ・チュプキ・タバタ上映期間6月13日(木)〜6月25日(火)
- 愛知シネマスコーレ上映期間6月22日(土)〜6月28日(金)
- 岡山CinéRuelle/余映(ラウンジ・カド)上映期間6月21日(金)一回限定
- 長野松本CINEMAセレクト上映期間7月5日(金)一回限定
- 群馬シネマテークたかさき上映期間8月9日(金)〜8月15日(木)
- 福岡KBCシネマ上映期間8月20日(火)一回限定
- 東京第16回下北沢映画祭
(シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』)上映期間9月23日(月・祝)一回限定
応援コメント
こんな可愛い映画が芸大のシステムの中から生まれてくるとは思ってもいなかった。可愛いというのは、隅々まで気配りの行き届いた画面の中で、登場人物たちの善意が気持ちよく機能するドラマに見る側が一切の不自然や誇張を感じない状態を言う。ひとえに蘇の卓越した個性と欲望によって成し遂げられたのだろうが、美術と撮影の達成度も半端ではない。私には到底できそうにないが、ヒットする映画とはこういうもののことを言うのだと思う。だとしたら、蘇は今メジャーな商業映画にきわめて最も近いところにいる。楽しみだ。
黒沢清(映画監督)
切実さと、軽さが奇妙に混ざり合った『撮りたいなぁ』というキリコの呟きが、不思議な説得力を持ってこのフィクションを支えている。ロード・ムービーを撮りたいという彼女の望みは、さまざまな困難に直面し、その葛藤が物語を進めもする。しかし、金がないとか、主役が決まらないなどという危機は、猫のみどりが行方不明になる以上の深刻なものではない。さまざまな人物が登場し、時にふとすれ違っただけの見知らぬ誰かにカメラはついていってしまう。誰にでも物語があり、映画の登場人物になりうるのである。みどりの演技も素晴らしいが、さながら人間図鑑のように登場する俳優たちがみな魅力的だ。蘇鈺淳が心を砕くのは、克服すべき困難を描くことではなく、すべての人物をただ肯定することではないだろうか。「私は一人ではない」そういう世界を映画の中で実現すること。それが必要なのは、現実の世界が悲しみや危うさに満ちているからではないか? やがて蘇自身までが画面に現れ、通りすがりの少年に「笑って」とカメラを向ける。「笑って」その世界への呼びかけこそがこの映画の魂に思える。
諏訪敦彦(映画監督)
監督の蘇鈺淳は台湾出身であり、この世界の在り様に関係してもいるだろう。それを外部からの視線というのも、ちょっと違うのだが、少なくともこの日本の情景がどこかずれて見える。そこが、『走れない人の走り方』の魅力にもなっている。映画を作りたい女性監督桐子とそれを取り巻くスタッフたちの存在は、それなりに切実でもあるのだが、それだけなら、よくある青春映画の一編で済んでしまう。映画館とビデオレンタル店の対比。前者には観客がいるが、後者にはいない。ヒロインとしての監督の他に、二人の実際の監督が出てくる。一人は諏訪敦彦であり、もう一人は蘇鈺淳自身である。この二人が桐子監督とちょっとだけ接する、その距離感が絶妙なのだ。そして桐子の妄想の中に出てくるコインランドリーの奇天烈さ。PFF2021で上映された蘇監督の前作『豚とふたりのコインランドリー』を思い出す人がいるかもしれない。
筒井武文(映画監督)
たまたますれ違った人にカメラがついて行ってしまい時々脱線する。いや、脱線じゃない。この映画ではすれ違った側の出来事も描かれ、中心にある物語と響き合う。そこには違う場所で同じ時間を生きている世界がある。「ほら、こっちも面白いよ」と愛嬌のある編集で手招きしている。ああ、巧くて嫉妬する。崇めるのではなく映画と一緒に戯れている力の抜け方が、本当にいい。
大川景子(映画編集者)
「映画を作ることについての映画」は数あれど、本作は大きく振りかぶらずに、作り手の生活や葛藤と強く結びついた生身の映画づくりを綴る。そこが新鮮で、愛おしくて、映画監督の主人公があの子やわたしに重なっていく。もし“走れない人”であったとしても、自分の言葉で話すことができたのなら、それがあなたの走り方になる。その姿勢を自ら示した蘇監督との嬉しい出会いに心が躍った。
奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
夢を追う人が、何かを眺めているときの横顔。それほど美しいものはないでしょう。
高妍 Gao Yan(漫画家・イラストレーター)
これほんと僕の勝手な狭い価値観で、申し訳ないんですが、「映画って最高!」とキラキラしながら公言してる人をあんまり信用していないんですね。本作が、"映画制作を題材にした作品"と聞いて嫌な予感がしたけれど…ド頭でそれは覆りました!そして、なんとまあ終わり方が…!我々を突き放すような幕引き。乾いてる!笑いました。好きです。
ジャガモンド斉藤(映画紹介人/お笑いコンビ)
私たちは映画で描かれている出来事を<映画の中の現実>と認識している。当たり前のように思えるが、映画が誕生した約130年前は、そういった認識が観客の側に欠落していた時代だった。斯様な映画史のタイムラインを意識しながら、この映画は映画を観る者・映画を作る者・映画に出演する者を複合的に登場させ、<映画の中の現実>を重層的に描きながら、劇中の現実を観客に錯誤させる<映画についての映画>となっている。
松崎健夫(映画評論家)
「映画監督」とはいったい何なのか?筆者にはおそらく一生分からない謎の問いだが、この小島桐子の不格好な冒険を目にして、初めてその存在を身近に感じられた。「走り方」は後からついてくる。これは筆者にも覚えがあるものだ。ベタなことを言うが、「何かやりたい。でも何をどうすればいいのか分からない」、そんなすべての方々に観て欲しい。守護天使のような諏訪敦彦監督の存在もひたすら素敵!
森直人(映画評論家)
役者の皆さんの魅力に満ち満ちている映画でした。等身大とはこのことかと。とくに早織さん演じるプロデューサーがリアルすぎて、観ていて僕まで怒られている気がしてきました。
山口淳太(ヨーロッパ企画/映画監督)
迷宮のような劇中劇とグリーンバックの演出によって、映画への強い感情移入に焦点を当てた物語への扉が開かれる。 私たちは、主人公である監督が人生と仕事の困難をどのように乗り越えて映画を作るのか、そしてこの映画の真の監督が作品をどこに持っていこうとしているのかに関心を持つ。 ロードムービーの作り方をテーマにした本作で、観客は映画の内と外で連動する冒険の形を探る。 終盤前の会話では、監督の形式に対する思慮深いアプローチが示され、その結果、映画史上最もユニークなロードムービーが誕生した。
ジン・ジアフア(映画監督)
監督コメント
映画についての映画、どの監督でもやってみたいテーマのような気がします。以前「初長編でなぜそれをテーマに選んだのですか」と聞かれたことがありました。その時、こう思ったんです。三日坊主の私にとって、映画はいつまでもやり続けたい唯一のものだからだ、と。
ただ、『走れない人の走り方』は、映画に関わる人たちしか共感できない話ではなくて、何かを作っている人、好きなことをやっている人に届けることができたら嬉しいです。この作品を観て、少しでも勇気を感じていただけたら、それだけで十分です。この作品を支えてくださったスタッフの皆様、魅力的なキャストの皆様の素晴らしさをぜひ劇場で観ていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
蘇鈺淳(監督)
出演者コメント
映画の眼差し。
この「走れない人の走り方」は
桐子の眼差しそのもので、
82分通してスクリーンに出てくる
出演者それぞれの眼差しであり、
そして紛れもなく蘇監督の眼差しそのものなんだと思います。
大丈夫だからそのまま走りなさい。
桐子の大事なアイテムである貯金箱の中を光らせよう!
と現場で監督が言った時、
この作品に関わる私達も
見て頂ける皆さんも、
今日も何処かで桐子の様にため息をついてる誰かにとっても大事な光になるなと思いました。
走れない人の走り方で走ります。
切実すぎてどこか笑えて真っ直ぐな愛おしい映画です。
山本奈衣瑠(主演・小島桐子役)